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いい選手の条件 -1-

今までに数多くの日本代表選手や世界のトップレベルのプレーヤーを観察してきて感じる共通点は、まず第一に負けず嫌いであること。第二には、人の話がよく聞けること。この2点は、一流になる選手が共通して持っている特徴といえます。

負けず嫌いである。

人の話をよく聞ける。

このことは一流選手の条件と言っていいでしょう。
代表選手には常に競争があります。現状に満足して立ち止まっていれば、すぐに追い越されていくような世界です。現状維持では後退を意味すると考えるべきです。

トレーニングの中でも本当に1cm、0.1秒を負けるのが嫌で、がんばって100%の力でチャレンジし続ける。ハートも含めた強さが負けず嫌いな選手には あるように思います。また仲間やコーチ、監督、両親など身近な人たちからピッチの中のこと、ピッチの外のことなど足りない部分を教えてもらい、自ら学んで いくために人の話をしっかり聞ける姿勢が必要になってくると思います。
すなわち、最初からトップレベルの選手は存在しない。失敗から学び、努力し、経験して前進し続ける選手がトップレベルでいい選手と言えるのだと思います。

オーストラリア vs ウルグアイ -メルボルン-

メルボルンで84,656人の大観衆をバックに1-0でオーストラリアが勝利。
ワールドカップ本大会をかけた第一戦を視察に行ってきました。

11月19日の21:00発の夜行便で20日に着き、そのまま試合を見て翌朝6:00にホテルを発って帰国するという強行スケジュールでしたが、時差が少ないので体は思うほどきつくないです。
インターナショナルなサッカーというスポーツでは、こういう事が普通にできないと情報が遅れてしまうので仕方がないというか、当然しなければいけない仕事の一つだと思います。

内容については立場上あまりお話できないのが残念ですが、ディフェンシブなウルグアイから何とか1点オーストラリアが奪ったことで第2戦は激しくそしてお互いにとって厳しい戦いになると思います。

12月1日の抽選会でどうなるか楽しみですが、こういう仕事が生きるような組み合わせになったら良いですね。

この視察で隣の席のご夫婦に「日本はすばらしく成長している。エキセレントだ。」と、誉められました。

やはり嬉しいものですね。

韓国 vs クロアチア と、ナショナルトレーニングセンター

先日のイタリア戦、すばらしい応援ありがとうございました。いつも大勢のサポーターの皆様の熱い声援に勇気とパワーをいただいて私のハートも自然に熱くな るのを感じています。国歌を聞きながら日本を代表して戦う誇りと責任を感じているときはすごく充実していて、大好きな時でもあります。

11月7日のイタリア戦の後、韓国へ行き、韓国とクロアチアの試合をソウルと光州で視察してきました。光州での第2戦は、Jリーグ組の柳想鐵(ユ・サンチョル)、崔龍洙(チェ・ヨンス)も出場し、質の高いプレーを見せていただきました。(チェ・ヨンスは1得点)
結果は第1戦 2-0、第2戦1-1で韓国の1勝1分けという内容でした。

また、韓国のトレーニングセンターも同時に視察しました。仁川(インチョン)国際空港から1時間以内、ソウルからも1時間程という所で、アクセスが良くピッチも6~7面ありますから、これからはここをベースに代表チームの強化が進んでいくのではないかと思います。

ワールドカップへの重い責任(200日前)

いよいよワールドカップ開幕まで200日となりました。本大会に向けて準備もより具体的に、また本格的に本番を想定してのものが増えてきて、ムードも盛り上がってきています。ホスト国としての責任の重みを少しずつ感じているのが現在の状況です。
選手が自信と誇りをもってプレーできるように充実した200日間を送りチームが強く大きくまとまっていけば、日本サッカーにとって大きな財産になると思います。

トレーニング、休養、食事もすべてが選手にとっては大切なもので、仕事でもあります。今年のオフはしっかり休んで体はもとより心もリフレッシュしてほしいと思っています。

休養をしっかり取ることも重要です。そこからがワールドカップへの真のスタートであると考えています。その責任をしっかりと実行していきたいと思います。

ベースキャンプ

ワールドカップ2002も続々出場国が決まり、いよいよ12月1日には韓国、釜山にて抽選会が開かれます。各チーム、グループ分けの結果を受けて、ベース キャンプ地の選定にはいっていきます。ベースキャンプは大会前にトレーニングに集中できる環境と、大会中の移動も考えた地域性を考慮した選び方など、いく つかのパターンが考えられると思います。
また大会が始まれば、家族がやってきたり、メディアの方々の数もかなりのものになると思います。フランスなどは家族用のホテル、メディア用のホテル、チームの宿舎などとの距離など、トレーニング環境以外の施設も入念に調べていました。

選手の宿舎もできるだけストレスを感じないで生活できることは大変重要な要素です。何回もホテルの部屋から自由に外出できないようでは困りますし、家族に会うのにも大勢の人に見られてしまうような環境では疲れてしまいます。

このように、ピッチの外の生活をどう充実させていくかも、ワールドカップでの戦いの一つだと考えて、いい準備をしていく必要があります。

セネガル ナイジェリア戦

10/1~8 ヨーロッパ遠征(フランス、イングランド)
セネガル戦は10/4 18:00よりフランスのスタジアム……1998年フランスワールドカップで、フランスがブランの決勝ゴールで、パラグアイに”ゴールデンゴール(Vゴー ル)勝ち”した伝説のスタジアムにて。18:00のキックオフ(日本時間AM1:00)ということで、中2日でのゲームはコンディション的にはきついもの がありました。通常、日本で起きている時間であればもう少しいいパフォーマンスも発揮できたと思いますが、夜中の1:00~3:00は少々きつかったで す。

10/7のサザンプトンのスタジアムでのナイジェリア戦は、15:00(日本時間23:00~1:00)で、現地滞在7日目で時差調整も進み、コンディションもかなり上がっていました。
アフリカ予選を通過して本大会進出を決めているセネガル、ナイジェリア両チームはチーム戦術も浸透しており、チームが完成しているという感じがしました。
一方、日本はテスト、またはチーム作りの段階で成長途中というチーム状況です。これからの1戦1戦が非常に重要な意味を持つ試合になると思います。

まず、11/7のイタリア戦に向けて集中していきたいです。会場のさいたまスタジアムは2002年ワールドカップで日本の初戦のグランド。最高のシュミレーションの舞台。いい経験と結果を出し、自信にしたいと思います。

熱いサポートをよろしくお願いします。

運動能力と運動脳力

サッカーは頭で考えてするもの。

考える力を教えることが大切で、答えだけを教えることはあまり意味がありません。子供だけが自由に創り出していくような指導がセンスを育てることにつながります。

指示待ち人間が増えてしまった現代社会では、自分で考える力が不足していることが一番の問題点です。

このような事も含めた指導マニュアルを構築していくことが大切です。

様々な判断力を育てること、すなわち「運動脳力」を鍛えることこそが日本代表選手への近道なのです。

ヨーロッパ遠征

この10月のヨーロッパ遠征は、アメリカでのテロ事件の影響でさまざまな意見がありました。しかし、強化スケジュールを考えると、実施されて良かったと思います。海外組も含めて久しぶりにフルメンバーでキャンプ、試合ができることはチーム力のアップに欠かせないことです。
FIFAは”テロに屈しない”とコメントしていますし、実際にU-17の世界選手権も実施されました。11月には浦和でイタリア戦も予定されています。我々がヨーロッパに行かずに、イタリアチームが日本にきてくれるというのも、身勝手な考え方だと思います。
サッカー協会もチームの安全には充分調査してくれると思いますし、なにより我々は2002年ワールドカップのホスト国ですから、日本は大丈夫だということをアピールしていく必要があるでしょう。

今回の遠征を通じてサポーターの皆さんはもちろん、国民の方々に勇気を与えられたらいいなぁと思います。

コーチング

トレーニングの中で技術を教えるだけが指導者の仕事ではありません。

「あいつは理解力がない」という言葉は、裏を返せば”指導力がない”証拠でもあります。
それぞれの選手に精神状態や能力に差があり、全員に同じように指導しても間違いなく成長に差が出てきます。一方的に理論や方法を説明するような指導では、 一時的に良くなったりすることもあるだろうが、選手の身についていかないし、難しい大きなゲームでその力が発揮できるか疑問です。

コーチは、良い説明ができるだけでなく、説得し、選手自身が考えて主体的に動きだすようなプレーヤーを育てることが大事であると考えます。選手が納得してしまう言葉をたくさん持っていて説得できる「コーチング」ができる指導者は一流であると思います。

説明から説得へ…。
そして選手が実際に良くなって初めて良い仕事をしたといえるでしょう。
「コーチング」のレベルアップをはかり、世界に挑戦できるような選手がたくさん育つ様、期待します。

金メダルより価値のあるもの

ワールドカップやオリンピックで世界の頂点を目指し、金メダルを得る為に努力している選手にとって、表彰台の一番高いところでその金メダルを受け取るときは最高に幸せな時です。

しかし、その人にとってもっと大きな財産、価値のあるものは、”世界一”という高い目標に対して努力して成長する過程での「経験」です。多くのライバルに 勝ち、代表選手になること。アジアの予選での厳しい環境との闘い。自分のコンディション(メンタルを含む)を作るための細かな気遣い。大事な一戦を前にし たプレッシャー…..。

これらの壁を乗り越えてきた者にしか得られないギリギリの経験が大きな自身となって、その人のその後の人生に大いに役立つことになるのです。

ワールドカップまでの1日1日を大事に充実したものにしていきたいと思います。その先にもっと大きな何かが見えてくるでしょう。