ルヴァン杯

 湘南Vは「育成型」の結実だ。スーパーなタレントがいない中、選手を育て、力を最大限に引き出した。曺監督のスタイルが正しい道だと証明できた結果だ。
 特徴的なのは走行距離に現れる運動量。現在リーグでも1試合平均115・9キロメートルのトップ。決して高いとは言えない技術を補うために必要なものだ。技術は急にうまくならないが、運動量はブレない。ボールを持った時に相手に的を絞りづらくさせる。序盤から飛ばし気味に入ったが、試合のテンポを上げて、自らの土俵に持ち込み、横浜Mのエネルギーの余力を少なくした。MF松田の「交代の交代」もあった。もちろん全力でやっていたが、足りないように映ったのだろう。「できないことを求める」のではなく、「やれるのにしない」というのが許されないチームということだ。
 ペナルティーエリアの中には入られていたが、シュートシーンで間合いをあけず、1人目がブロック、さらに2人目、というシーンが見られた。個ではなく、グループで守るスキのない守備は素晴らしかった。
 育成に近道はない。積み重ねるしかない。得点を奪った杉岡もそうだが、現在、U―19アジア選手権にも、斉藤、石原を輩出している。戦力2人を欠いても、結果を出した。このタイトルは若いチームに自信を与える。(スポーツ報知評論家)