優秀な指導者になるための条件(1)
2002年2月1日
2002年2月1日
パーソナリティ ・ 専門知識 ・ 指導能力
サッカーの指導者として日頃感じていること、心にとめている私自身の考えを、”パーソナリティ ・ 専門知識 ・ 指導能力”という3つの視点から少し述べてみたいと思います。
指導者は、選手やチームがよくなってはじめて”よい仕事をした”と評価されます。理論、説明は一流だが選手が消化・吸収できないのでは成長もないし、よい結果は出せないでしょう。
特にプロの指導者は、ユース、トップ、サテライト、ジュニアなど各レベルによって求められるものは違いますが、選手がレベルアップしていることの証しとしての結果を常に出し続けなければならないと思います。これがプロの指導者に求められる要件です。
パーソナリティ
指導者にも様々な個性がありますが、特に必要とされるのはリーダーシップです。それを構成するものには、選手をまとめる力、カリスマ性、ポジティブな思 考、魅力的な人間性などが挙げられます。これらの要素のうちどれを強く全面に打ち出すかにより、指導者の個性が形作られているのだと思います。世界的に優 れていると評価されている監督を見渡してもいくつかのタイプに分けることができます。
専門知識
専門知識は指導者として選手、スタッフ等に説明をする上で重要であることは明らかです。本、ビデオ、研修会、ディスカッション、試合の分析等を通じて学ん だことを専門知識として吸収するのです。幸いにも良質な経験を得るチャンスに恵まれた人にとって、そこで得たことというのは大きな財産になります。
指導能力
優秀な指導者になるために最も必要な能力です。
自らが持つ理論、知識を選手に理解・納得させて、選手が自主的に行動し、自分のものにできるようヒントを与えたり、選手が自分自身で考える力を育むことが 指導者の役割であると考えます。最初から答えを教えるような指導法は、常に判断力を問われるサッカーのようなスポーツではいずれ行き詰まるでしょう。指導 者には説明するだけでなく、選手を納得させる能力が必要です。それによって選手やチームがレベルアップして初めて”よい指導をした”といえるのです。心理 状況も考えずに無理やり押し付けても、選手が吸収できるかどうかは疑問ですし、受け入れられない場合もあるでしょう。信頼関係を築く方法、選手から「教わ りたい」と思われるような状況を作るテクニック、第三者を使って選手を変えていく方法など、指導者講習会ではなかなかカリキュラムされない、現場で最も大 切な”指導能力”が求められます。全体練習を充実させ、わずかな違いや課題が抽出されるような状況設定ができれば、選手の反応も出やすくなり、よく観察す ることで対応法も整理されることでしょう。
これからも選手の能力を100%引き出し、世界に一歩でも近づき、ワールドカップトロフィーを手にする時まで、プロセスを楽しみながら選手と共に成長できるよう頑張ります。