3月27日 国際親善試合 日本2―0チュニジア
2015年4月8日
2015年4月8日
スタメンにはフレッシュな顔ぶれがそろった。これまで主力の本田、香川らは形ができあがっていて、ハリルホジッチ監督が自分の形を出しにくい。フレッシュで、「真っ白」な選手は純粋で、新監督の考え方を実践しようとする。もちろん競争というのもあるが、この日のスタメンにはそうした意図があったのだろう。
これまで主力の選手がベンチに座ってどういう振る舞いを見せるかというのも観察している。2018年のロシアW杯を見据えた時に、W杯の舞台で勝つにはベンチも含めたtW人の一体感が必要。アルジェリア代表を昨年のブラジルW杯で決勝トーナメントに導いた指揮官は、さまざまな世界基準をやはり知っている。
交代は2人のセットで計3回。3枚の交代カードを切るのと同じ時間で6人をピッチに送り出した。これは交代の度に試合が止まり、選手の集中力がなくなるのを防ぐためだ。試合のクオリティーを落とさない交代術だ。
戦術のベースとなっているのは「球際の厳しさ」。選手の選考基準にはこれがある。合宿ではブラジルW杯、アジア杯の失点シーンを見せたようだが、これまではシュートブロックできず、相手のシュートコースを広げさせてしまっていた。だが、球際の厳しさを徹底。1人がそこを緩めると、どんどんずれていくもの。それがないというところに、ハリル流の「規律」が表れていた。
「縦へのスピード感」もキーワード。全体的に1タッチ、2タッチが多く、ボールを止めてスローダウンするのが減った。ボランチの山口、長谷部は縦への意識が強くみられた。チャンスがあったら前という選択肢を考え、1タッチ、2タッチでプレーするために思考、ボールを処理、パスという3つのスピードが上がった。
アギーレ前監督の時は選手が「楽しい」という言葉を発し、個人的に違和感を感じた。だが、ハリルホジッチ監督のサッカーは「楽しさ」よりも「充実感」。プロの選手にとって、サッカーは仕事。「楽しい」ことよりも、「充実感」、「達成感」が大事。そうしたチーム作りに向かう指揮官には期待が持てる。(スポーツ報知評論家)