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スポーツは人間づくりである

一流のスポーツ選手は、一人の人間としても一流である。

選び抜かれた選手が出場する大会の決勝戦、オリンピックで勝てば金というような大一番において勝敗を分けるポイントは何だろう?99%勝利を手にしながら ロスタイムに逆転されるといったケースは珍しいことではありません。目に見えない僅かな差が勝者と敗者を分けるものなのです。
一人の人間がスポーツを通して成長していく過程においての経験が、選手として、一人の人間として成長していく上で重要な位置を占めていると思います。選手 一人の力で世界の頂点に立てるわけではありません。周囲の人たちの協力を得て世界一という一瞬の輝きを放つことができるのです。

しかし、その一瞬の出来事は次の一生の1ページへのスタートでもあると思います。常に人の話を聞き、人間として成長しようとする姿勢が大切だと思います。 世界中の人々から愛されるサッカーは常に進化し続ける高い山です。それは人間づくりの為の経験、勉強の場でもあると思います。

日本サッカーでもドーハの悲劇があり、ジョフォールバルの歓喜がより大きなものになりました。

どんな優秀なスポーツ選手にも共通して言えることは、人間としても一流であることです。

最後の最後は人間力なのです。

日仏合同サッカーメディカルシンポジウム

1月12、13日 東京で日本とフランスのサッカーメディカルシンポジウムが開催されました。日本代表、フランス代表のチームドクターをはじめ、日本協会の医学委員会の先生 方、ナショナルチームのスタッフ、トレーナーの方などメディカルにかかわる様々な方の参加があり、有意義なシンポジウムでした。具体的なひざ、足首、筋肉 のケガの判断や治療、骨の中の状況をどう判断するかなど、専門的なレベルのレクチャーもあり、ほんの少しのメンテナンスの差がプレーに影響を与えるなど、 トッププレーヤーにとってはこう言ったことのレベルアップは非常に喜ばしいものであると思います。

休んでいれば自然治癒するものであっても、積極的に治療すればその期間も短縮できます。そのことで1試合早く復帰できれば選手にとってもチームにとっても プラスになります。コスト(年俸)の高い選手が1試合休むことで観客の入りにも影響を与えるとすればチームの経営にかかわる大きな問題であると思います。 Jリーグのチームでは、ドクター→PT(フィジオテラピスト)→トレーナー→フィジカルコーチという形で選手のケガから復帰まで、しっかりサポートできる 体勢ができています。

子供の成長過程での様々なケガに対しては十分な診断と治療というものができていないのが現状です。スポーツをする子供の数に対して、スポーツドクターとい われる専門的な知識と経験がある先生が少ないからです。将来のある日本サッカーの宝物である子供たちがしっかりトレーニングし、しっかり治療したり、休ん だりすることができる環境を地域ごとに作り上げることは、短期的な目標として実行していく必要があります。

このシンポジウムでは改めて地域におけるメディカルサポートの充実が重要であると考えさせられました。子供たちが安心して信頼できるドクターが将来を考え てアドバイスしてあげられる事で、子供の可能性を最大限に伸ばしてあげられると思います。多くの先生方がサッカー協会の医学委員会主催のシンポジウムや研 修会への参加を期待します。

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

いよいよ2002年ワールドカップの年がやってきました。皆様と一緒に厳しいであろうワールドカップまでの道のりを楽しんでいきたいと思います。これから の一日一日の重みは過去に背負ったことのない大きなもので、少々の不安はありますが、その壁を乗り越える事で、また大きくなっていくのだと思います。

『高い目標に向かう過程に価値がある』

一日でも長くワールドカップを戦うことができれば、そこには大きな価値があり、自分自身にも日本サッカー界にも財産となって残ると考えています。いずれ、 「ワールドカップトロフィーを手にするときが来る」。その時までの過程の1ページであり、人生のページの中ではほんの数ページです。しかしその1ページに 何を描けるのか?なんとしても夢のような大きな一生記憶に残る画を描いてみたい。
頑張ります!

2001年 世界への挑戦を振り返って

2000年アジアカップ レバノン大会では、6試合で21得点という圧倒的な攻撃力で勝利をものにし、チャンピオンシップを獲得。そして今年最初のゲーム、3月のフランス サンドラでの0-5という大敗。様々な条件の差こそあれ、アジアの戦い方では、世界のトップチームとは戦えないという教訓を得て、守備の再構築の必要性、アウェイでの 厳しさ、個々のプレーにおける世界との距離など、多くのことを学んだ価値のある一戦となりました。

その後のスペイン戦、コンフェデレーションズカップでの準決勝、7月のキリンカップ(パラグアイ、ユーゴスラビア)、8月のオーストラリアとの AFC/OCF、チャレンジカップ優勝、10月のヨーロッパ遠征でのセネガル、ナイジェリア戦、そして11月のイタリア戦と充実した一年の成果と経験を来 年に活かしていきたいと思います。

私自身、2000年から2001年にかけて世界チャンピオンのフランス代表と3回、スペイン、イタリア、ブラジルなどトップレベルの国々との戦いの中で感 じた質の高い経験が大きな財産になりました。このような世界レベルへの挑戦を常に続ける事が日本サッカーの成長には必要不可欠です。日本サッカーの歴史に おいて、世界のトップ10に入るチームとこれだけの試合をこなした事はないと思います。本当に幸せな時代がきたものです。

今年一年応援ありがとうございました。
皆様もよいお年をお迎えください。

観察→分析→予測→実行

指導者は選手やチームをレベルアップさせる為に、試合、トレーニングの中でよく選手を観察し、現状の分析をし、どこをどのように改善していけばどうよくな るのか予測をたて、そして、どう選手に伝え、トレーニングで実行していくか、このサイクルを繰返しながら少しずつレベルアップを図ることで、確実に個人の 成長、チームも成長していくことができます。

観察とは、技術、戦術、フィジカル的な視点だけでなく、メンタル面もよく観ていく必要があります。パスが通らないのは人間関係にあったりするからです。 ピッチの中で改善できるものであれば、問題解決はそう難しくないのですが、心の中や、ピッチの外の問題は、この観察が大変重要になります。
我々の食事会場は選手がしっかりコミュニケーションがとれるように時間の設定や選手同士の顔が見渡せて、外の景色が見えて、自然のゆらぎがあるようなシュチュエーションを準備しています。食事は楽しみな時間でもあるので、リラックスして自分を出せるようにしています。

分析の結果から選手がどうレベルアップできるのか予測をして、目標レベルに向けて計画していく、そしてピッチの中、外、両方でトレーニングを実行してい く。チーム練習だけでは不充分な場合もありますから、内容によっては個人のプログラムを作成して達成感を持たせながら進めていくことが重要。このようなサ イクルでチェックをしながら選手を育成していくと常に新しい目標が発見できると思います。

サポーターの皆様、メッセージありがとう

いつも勇気やパワーが湧いてくるようなお話、心の温かくなるお話など、たくさんの応援メッセージをいただきありがとうございます。ホームページを見ていると意欲、やる気といったものが自分自身にも湧いてきます。

今年2001年は、フランス戦、スペイン戦、コンフェデレーションズカップ、キリンカップ、アジア・オセアニアカップ、セネガル戦、ナイジェリア戦、イタリア戦など来年のワールドカップに向けて世界との距離感をはかる有意義な1年でありました。

過去にないワールドクラスなチーム、特にFIFAランキングベスト10に入るチームとの試合は我々に大きな自信を持たせてくれるものでした。この経験を未 来のワールドカップにも生かしていきたいと考えています。また、この各国チームとの信頼関係を2002年以降に繋げていく戦略が日本のサッカーにとって大 事になってきます。

幸い、代表チームのスタッフ、マネージャーやメディカルグループなどにも、ユース、オリンピック、ワールドカップと選手以上に世界を知り尽くしている人材 が育っていることも2002年以降にとって大きな財産でしょうし、それを生かしていく組織を作り上げていくことがさらに重要です。

本年は本当にサポート、応援ありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。
来年はいよいよワールドカップ。日本代表としての誇りをもって全力でがんばります!
日本サッカーにとってさらに飛躍すべき大事な年でもありますし、変化のある改革の年でもあります。サポートよろしくお願いいたします。

いい選手の条件-2 (プレッシャー対策)

質の高い経験と成功がプレッシャーを乗り越える。

経験を積むことで様々な状況に対応できる判断力や能力が身につきます。また、その経験が成功したものであれば、よりメンタル面での余裕となり、プレッシャーを感じずにプレーできていい結果につながっていきます。

現在の日本代表選手は、U-17、U-20のワールドユースやオリンピックなどで世界の強豪国と挑戦し、結果的にも勝ち越しており、素晴らしい経験をしています。
この成功体験がゲームに向かうときには大きなアドバンテージで、自信を持って戦える1つの要因です。

世界大会を目指す代表チームにあっては、試合内容と共に結果も大きなウェイトを占めています。かつてユースで戦った選手とフル代表で再度対戦する状況にお いては、過去の対戦イメージは非常に重要で、よいイメージを持っていれば気持ちに余裕が生まれ、プレッシャーは軽減できます。
また、明日への希望を持続し、ポジティブな思考で常にレベルアップを目指し続ける限りプレッシャーに押しつぶされることはありません。

自分自身の最高のプレーを引き出す様に自身のプレーに挑戦する気持ちがあればプレッシャーを感じることはないでしょう。

質の高い経験と成功が、いい選手になるための条件なのです。

目標は意欲となり、意欲は能力となる

目標を明確にすることで,練習や試合、その他ピッチの外でも心身のエネルギーを高い目標に向けて充実させることができます。目標が明確であれば、チームはもちろん個人としての判定する基準がはっきりし、成功感や問題点、課題がはっきりします。

目標を立てる場合には各人の能力、実力に相応した目標を立て、成功感を経験させながら、次の高い目標にいこうしていくことが重要です。

サッカーの一つ一つのプレーも同じですが、瞬間、瞬間の個々の判断力を育てていかないと実際の試合では役にたちません。目標も他人(監督、コーチ、親な ど)から与えられるものより、自発的にたてる目標にすることが大切です。目標達成のための努力が真剣になされ妥協しないように選手自身が納得してチャレン ジできるような決め方が重要です。

こうして決めた目標に向かう過程での成長が本物の能力として選手の力となるのです。

FIFA WORLD CUPのスケール

ワールドカップは世界最大のスポーツイベントです。予選の参加国は198カ国(地域)。予選だけで2700以上の試合が行われ、勝ち上った32ヶ国が本大会へ進みます。

ワールドカップ決勝は、全世界の人口の約1/3にあたる人々がリアルタイムでTV観戦します。世界中の人々のワールドカップに対する関心の高さを象徴する例を数え上げたらきりがないほどです。

なんと言っても2700以上の試合を勝ち抜く難しさはサッカーならではのもので、サッカーの世界的な大きさを改めて感じさせてくれます。その1試合、1試合にドラマがあり、それぞれの国の歴史となっているように思います。
この予選の大きさが、本大会での重みや勝ちの大きさにつながるのだと思います。

ワールドカップ Final Draw

韓国 釜山で、2002年ワールドカップの抽選会が盛大に行われました。まず、11月30日のウェルカムディナーで予選突破の32カ国の監督やチームスタッフ, FIFAのゲストなど華やかなメンバーと再会でき、楽しいひとときを過ごしました。パーティではブラジル代表監督のフェリペ氏と隣の席で大いに話が盛り上 がり、ブラジル代表の選手の事や、キャンプ地の話などであっという間に時間が過ぎてしまいました。また、ジュビロの選手の事もよく覚えていて、どうしてい るか気になる様子でした。チャンピオンシップの話をすると、メンバーについて多くの質問を受けました。
また、抽選結果については悪くはない結果だと思いますが、ワールドカップで楽な試合は一つもないと言えるでしょうし、どこもモチベーションが高くなるので厳しい戦いは覚悟する必要があります。

12月1日にはFinal Drawが行われ全世界から多くのゲストが招待されました。ペレ、プラティニをはじめ、井原、洪明甫(ホン・ミョンボ)選手も参加しして世界各国にTV中 継される中、セレモニーは素晴らしいショーとして開幕し、皆さんご存知のようにひとつ、ひとつ対戦相手が決まっていきました。

また、12月2日にはワークショップというFIFAから参加国への大会でのルールや、各会場の説明、スケジュール、移動の手段、費用負担の範囲など様々なインフォメーションがありました。

ユースやオリンピック、アジアカップなどでもこうした会議はありますが、スケールが少し違い、流石ワールドカップという感じです。こうした事に慣れていく ことが重要で、いいスケジュール、プランを立てるために各国関係者、監督、エージェントなども含め人脈を広げてトレーニングマッチなども有利に組めるよう にする必要がありあます。

これらがワールドカップの過程の中で経験する大きな自分自信での財産でもあります。